重症心身障害児(者)病棟は、深刻な肢体不自由と著しい知的障害が同居した患者の治療や日常生活の支援、看護を担当する病棟です。
私は国立病院機構の系列病院で、重症心身障害児(者)病棟で3年間勤務しました。
私が勤務した病棟では、患者の年齢は小児から高齢者まで多岐にわたり、脳性麻痺、事故による脳損傷、染色体異常、先天性酵素欠損、てんかんなど、多様な疾患の患者が入院しており、中には呼吸器管理が必要な患者もいました。
病院全体の規模は、病床数が400床で、看護師は350名程度在籍しており、重症心身障害児(者)病棟は2つの病棟から成り立っていました。各病棟には約60名の患者が入院していました。
以下では、私の経験から重症心身障害児(者)病棟での看護師の仕事内容と、勤務中に感じた印象(働くメリット・デメリット)について詳しく説明していきます。
執筆・監修看護師
島田 看護師
看護師として総合病院に9年間勤務し、整形外科、呼吸器外科、重症心身障害児者科などの病棟で、急性期から慢性期まで幅広い看護に携わってきました。結婚・出産を機に退職し、現在はこれまでの臨床経験を活かして、看護師向けのキャリアや転職、働き方に関する情報を発信する看護師ライターとして活動しています。現場での経験をもとに、看護師の視点に寄り添った分かりやすい記事制作を心がけています。
著作・監修記事一覧
重症心身障害児病棟で働く看護師の仕事内容

私が勤務していた重症心身障害児(者)病棟には、障害の程度は患者によって異なりますが、食事・排泄・移乗において全介助が必要な方が多数入院していました。また、コミュニケーション障害や四肢の変形・拘縮、側弯や胸郭の変形を持つ方も多く見受けられました。
そのため、重症心身障害児(者)病棟で働く看護師の仕事内容としては、患者への日常生活支援・介助、患者の観察・異常の早期発見、他職種との連携や患者の家族との連携などが主です。
以下は、私が重症心身障害児(者)病棟に看護師として勤務した際の1日のスケジュール(日勤)例です。
| 8:30~ |
・患者の情報収集
・夜勤看護師からの申し送り |
| 9:00~ |
・患者への検温の実施
・入浴(週2回)/陰部洗浄・おむつ交換 |
| 11:00~ |
・経管栄養患者の口腔ケア
・経管栄養開始(昼食分) |
| 12:00~ |
・患者の食事介助 |
| 13:00~ |
・患者の経管栄養回収
・交代で看護師は休憩 |
| 14:30~ |
・カンファレンス、又は患者の入浴介助
・患者のおむつ交換 |
| 16:00~ |
・経管栄養開始(夕食分) |
| 16:30~ |
・看護記録
・退勤 |
1日のスケジュールを見て分かる通り、看護師は日々決まった業務を行っていました。
重症心身障害児(者)病棟では、患者の緊急入院や手術もなく、急変も基本的に少ないため、看護師として時間に追われることなく業務が行えました。
以下では、私の経験をもとに重症心身障害児(者)病棟で働く看護師の仕事内容の詳細について説明していきます。
患者への日常生活支援・介助
多くの障害を持っている患者を支えるため、重症心身障害児(者)病棟で働く看護師のメインの仕事は、日常生活支援や介助です。
入院中の患者たちは人生の大半を病院で過ごすことになるため、病院が生活の場となります。そのため、患者の病気を治す看護よりも、多職種と連携して生活を支える看護が中心となります。
具体的な仕事内容として、患者の食事介助、経管栄養や胃ろうチューブ交換の介助、排泄や入浴の全介助などがあります。
また、人工呼吸器を使用している患者も多く、呼吸器管理・吸引・気管切開カニューレ交換の介助も実施します。さらに、医師の指示があれば、肺機能の維持や排痰援助の目的で仰向けの体位訓練・IPV・カフアシスト・コンフォートカフなども看護師が行います。
看護師の体験事例
私が勤務していた重症心身障害児(者)病棟では、患者の排泄は全介助が必要であり、入浴は週に2回行い、同様に全介助が必要でした。
膀胱留置カテーテルを使用している患者も一定数入院しており、患者の拘縮や奇形の程度に応じて、使用するおむつの種類や装着方法が異なっていました。
患者の観察・異常の早期発見
重症心身障害児(者)病棟に入院している患者の中には、コミュニケーション障害により自己の意思を伝えることが難しい方々がいます。
そのため、重症心身障害児(者)病棟で働く看護師は、患者の日々の様子を確認、観察することが他の診療科よりも重要です。
観察内容としては、患者の表情や声の発し方、心拍数の変動など微細な変化に気を配り、患者の異常を看護師が察知します。
このような観察によって、看護師は患者の機能低下を防ぎながら、異常の早期発見や安全に留意して患者を支援していきます。
患者のてんかん発作の対応
患者のてんかん発作(脳にある神経細胞の異常な電気活動によって引き起こされる発作)の看護も、重症心身障害児(者)病棟で働く看護師の重要な仕事の1つです。
てんかん発作時の看護において、看護師は患者の安全を確保し、観察と記録を行い、医師の指示に基づいて薬剤を投与します。
また、患者のてんかんの頻度や症状については、看護師が医師に報告し、てんかん薬の調整に関与します。
看護師の体験事例
患者のてんかん発作は、発作の症状が個々に異なるため、私は初め発作が発生しているかどうかを判断することが難しかったです。
しかし、患者のてんかん発作の特徴を理解することで、発作が起きていることに早く気づくようになり、適切な対応がスムーズに行えるようになりました。
他職種との連携
重症心身障害児(者)病棟では、患者の生活を支えるため、余暇活動や療育活動、学校、リハビリが行われます。
そのため、医師や看護師の他にも、介護士・保育士・教員・理学療法士・言語聴覚士が患者と密に関わり、各専門職の役割が統合され、総合的なケアが提供されます。
重症心身障害児(者)病棟で働く看護師は、情報を他の職種と共有し、連携の架け橋としての役割も担います。
看護師の体験事例
私は、重症心身障害児(者)病棟に看護師として勤務し、それぞれの職種との連携が他病棟よりも多い印象がありました。
以下は、私が他の職種と連携した具体的な体験です。
患者の車いすの移乗方法や拘縮予防訓練についてのアドバイスを行う際には、私は他の専門職と協力しました。また、患者の体重管理について医師や栄養士、言語聴覚士と協議しながら、栄養剤の変更や食事量・形態の調整を行いました。さらに、保育士などが主催するイベントの手伝いや、患者の家族への連絡も担当しました。
これらの体験を通じて、私は異なる職種の専門知識を結集し、患者の支援に最適なアプローチを見つける重要性を感じました。
患者の家族との連携
重症心身障害児(者)病棟に入院する患者は、最後まで病棟で過ごす方もおり、患者の家族と看護師との関わりも密接に行う必要があります。
具体的には、看護師としては、患者の情報共有や病状の理解を促すことが大切です。さらに、ケアの方法や使用物品など、家族の意向を看護計画に反映させることも求められます。
このような患者の家族との連携により、患者が安心して過ごせるような環境づくりを行います。
看護師の体験事例
重症心身障害児(者)病棟に入院する患者には、毎日面会時間一杯までご家族が付き添う方もおり、私は家族に患者のケアの方法を教えながら看護する機会もありました。
また、七五三や入学式、卒業式、還暦祝いなど、患者の大事な瞬間に関わることができます。これは他の病棟ではなかなか経験できない貴重な体験でした。
家族や患者とその特別な時間を共有できることは、素晴らしい経験であり、感動を覚えることが多かったです。
重症心身障害児病棟で看護師として働いて感じたメリット・デメリット

重症心身障害児(者)病棟で看護師として働き、他の病棟と比較して私が感じたこと詳しく説明していきます。
体力的な負担が大きい
私が勤務していた重症心身障害児(者)病棟では、すべての患者が入浴や車いすなどの移乗において全介助が必要でした。
さらに、入浴の際には、機械浴を利用し、患者を30名ずつ2つのエリアに分けて入浴介助を行う必要がありました。また、排泄も全介助が必要であり、そのために看護師としての体力的な負担が大きい仕事が多いと感じました。
他にも、療育活動時やベッドのシーツ交換など、患者の移乗が必要な場面が数多く、体力を使いました。
時間に余裕をもって仕事ができ、残業も少ない
私が勤務していた重症心身障害児(者)病棟では、規定の時間に合わせた看護を患者に提供していました。
さらに、医師も午前中には看護師に指示を出すことが多かったため、時間に余裕を持って仕事を進めることができました。
また、仕事内容で述べたように、患者の緊急入院は稀であり、急変も少なかったため、急遽追加となる業務がほとんど発生しませんでした。
このような状況から、私はほとんどが定時で仕事を終えることができ、残業もほとんどない環境で働くことができました。
産休明けに重症心身障害児(者)病棟に配属されましたが、無理なく業務に取り組むことができ、子育て中のママ看護師にもおすすめできる環境だと感じました。
病棟が苦手な看護師もいる
重症心身障害児(者)病棟は、他の病棟とは異なり、患者と仕事内容も特有のものです。
このため、私が勤務していた重症心身障害児(者)病棟には、合う・合わないがはっきりと表れる看護師が多かったです。
具体的には、「患者との会話を楽しみたい」「多様な症例を学びたい」「ドレーン管理や点滴、採血、輸血の看護に携わりたい」といった志向を持つ看護師の場合、重症心身障害児(者)病棟は難しいと感じることが多いようです。
また、ルーチンワークへの耐性がない看護師や、体力に自信がない看護師、患者家族との関わりに苦手意識がある看護師の方も、重症心身障害児(者)病棟に向かない傾向があります。
私の経験から判断すると、一般病棟での経験が長いほど、以前の環境との違いに違和感を覚える看護師が増えるのではないかと思います。
じっくり患者と向き合える
重症心身障害児(者)病棟は、急性期病棟とは異なり、患者に多くの検査や処置は行われず、病状も安定しています。
さらに、私が勤務していた重症心身障害児(者)病棟では、60名の患者が入院していましたが、知的障害等によりナースコールを操作できる患者は1~2名と少なかったです。
そのため、頻回な訪室は必要ですがナースコールによる業務の中断もありませんでした。
私は、重症心身障害児(者)病棟では、高度な看護技術や迅速な判断が求められることは少ないため、ゆっくりと焦らずに患者一人ひとりに集中して看護を提供できることを魅力と感じました。
また、新人看護師たちも患者と丁寧に向き合うことができる環境であり、先輩看護師からもじっくりと指導を受ける機会がある環境でした。
重症心身障害児病棟の看護師求人が多い転職サイト

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病棟、外来、オペ室、透析、その他 |
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病棟、外来、施設、訪問、手術室(オペ室)、透析、内視鏡 |
| 対応エリア |
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そのため、重症心身障害児(者)病棟への看護師転職を検討している場合、必ず活用しておきましょう。
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まとめ
重症心身障害児(者)病棟に入院している患者は、言葉でのコミュニケーションが難しい繊細な患者たちです。
そのため、看護師としては高度な観察力やアセスメント力が特に必要です。
また、全介助でのケアが主体となるため、体力も求められ、個々の患者に対する深い理解と丁寧な看護が要求される環境です。
私は実際に重症心身障害児(者)病棟で看護師として働き、他の病棟とは異なる特有の難しさとやりがいがあると感じました。
私の経験からですが、重症心身障害児(者)病棟は、長期的に患者と向き合いたい看護師、観察力やアセスメント力を身に着けたい看護師、より個別的なケアを提供したい看護師の方には、おすすめの病棟だと感じます。
是非、興味がある看護師の方は、重症心身障害児(者)病棟にチャレンジしてみてください。
このサイトの運営者情報
| 運営会社 |
株式会社peko |
| 会社ホームページ |
https://peko.co.jp/ |
| 所在地 |
〒107-0052 東京都港区赤坂3丁目1-16 BIビル6F |
| 代表取締役 |
辻󠄀 昌彦 |
| 設立 |
2015年6月 |
| 資本金 |
14,000,000円 |
| 事業内容 |
- 有料職業紹介事業
- キャリアメディア事業
- インターネット広告事業
- SEOコンサルティング事業等
|
| 許認可 |
有料職業紹介事業許可番号:13-ユ-314509 (厚生労働省職業安定局: 職業紹介事業詳細) |
| 届出 |
特定募集情報等提供事業:51-募-000760 |
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